2022年7月30日14時頃。
突然耳鳴りが始まり、耳が詰まったような感覚に襲われました。
翌朝、ベッドから起き上がろうとしたら、経験したことのないような強いめまいに襲われ、そのままベッドに倒れ込みました。
そこからはトイレに行くのも一苦労。ちょっと動くだけで頭がぐるぐる回るし、吐き気もするし……
そのときの話はこちらをご覧ください。
今回は、耳鼻科で処方してもらった薬を飲みながら、「高気圧酸素療法」を試した結果についてまとめてみました。
高気圧酸素療法とは
通常私たちが生活しているのは1気圧の世界です。
高気圧酸素療法は、気圧を高くし100%の酸素を吸うことによって、通常の10~20倍もの酸素を体内に取り入れ、それが毛細血管の隅々まで届いて低酸素状態を改善し、組織修復を促そうとするものです。
一酸化炭素中毒でも使われる治療法で、有毒なガスを体内から排出することができます。
ほかにも、酸素の抗菌作用により、体内の細菌やウイルスを死滅させる効果もあります。
腫れを軽減させる効果もあるので、炎症を伴う病気にも有効です。
この治療が、突発性難聴にも有効だということで、試してみたくなりました
高気圧酸素療法の設備
高気圧酸素療法には、ふたつのタイプがあります。
高気圧酸素治療装置
透明のカプセル式の装置です。
中には患者がひとりしか入ることができません。
横たわった状態でじっとしていないといけないので、閉所恐怖症の方にはつらいかもしれません。
高気圧治療室
潜水艦の中のような部屋に入って行います。
患者がベッドに横たわるタイプ、もしくは椅子に座わるタイプがあります。近くにスタッフがいてくれるところもあれば、ひとりにされる場合もあります。
私が受けた病院は、最大5名くらいがリクライニングシートに座れる部屋でした
コロナで人数を少なくしての入室でしたが、一番多い時で3名でした
高気圧酸素療法のやり方
治療の前に血液検査を行い、高気圧酸素療法が問題なく行えるかを確認します。
必要に応じて、胸部レントゲン、心電図、聴力検査を行う場合もあります。
次に高気圧酸素療法の説明を受けます。
治療内容、副作用、持ち物などについての話を聞き、同意書にサインをします。
高気圧酸素療法の副作用は、加圧時の耳閉感や耳の痛みです。
これらは、きちんと耳抜きができれば問題ありません。
もしうまくできない場合は、中耳炎になる恐れがあるとのことでした。
耳抜きの方法は、唾を飲み込む、ガムを噛む、水を飲むなどがあります。
血液検査で問題がなかったので、ここからは私が実際に受けた治療についてお話します
体調を聞かれ、問題なければ歩いて入室します。腰をかがめることもなく、真っすぐ立って歩ける高さがあります。
中には、リクライニングシートが左右の壁に沿って前後にふたつ、もしくはひとつ設置されています。
日によって椅子の数が変わるので、入室人数によって取り外しができるようでした。
空いている席を選んで座ります。背もたれを倒すのは自由です。また、足元にはオットマン(足のせ)があり、それを使うかどうかも自由です。
スタッフから渡される酸素マスクを装着し、そのまま患者だけが残り扉がロックされます。
スタッフが退室する際、何かあったらマイクに向かって声をかけてくださいと言われますが、呼んだことはありません。
マイクから「それでは始めます」と合図があるとすぐ、加圧が始まります。
1気圧から2気圧に上げるまでを、15分かけてゆっくりと行います。水中で例えると、10メートル潜る感じです。
このとき、耳抜きをしないと耳を傷めてしまうので注意が必要です。つまってきたなと感じたら、唾を飲み込むと治ります。
15分経つと、気圧が安定するので耳抜きの必要はありません。そこから1時間、2気圧の部屋で過ごします。
することがないので、私はひたすら読書をしていました
普段なかなか読む機会がなかったので、とても良い時間でした
中にペットボトルは持ち込めますが、キャップを緩めておかないと凹みます
スマートフォンなどの電子機器、燃えやすいものは持ち込み厳禁です
開始から1時間15分すると、今度は元の気圧に戻す作業が始まります。こちらも15分かけて行います。
以上が1回の治療です
部屋に入ってから出るまで1時間半かかるので、トイレは済ませておきましょう!
高気圧酸素療法の費用
高気圧酸素療法は、30回まで保険適用になります。
全国健康保険協会では、健康保険限度額適用認定書を申請し病院に提出することで、限度額に達したらそれ以降の支払いは不要でした。
再診料は毎回必要(330円程度)なので、その分は用意しておいてください。
ここで注意してほしいのは、月が替わるとリセットされてしまうということです。
つまり当月に15回受けて、途中で限度額が来たのでそれ以降は30回目に達するまで払わなくてよいということではないのです。
翌月になったらゼロからのスタートだということを覚えておいてください。
一番良いのは、月初めからはじめて、出来る限り毎日(病院が開いている日)通って、30回に近いところまで治療を終わらせるというやり方です
私の場合は、月の途中からだったので、ほぼ毎日通いはしましたが、17回目で終了でした
高気圧酸素療法は、3割負担でも1回の治療費が1万円弱。これを限度額が来るまで毎回支払わなければなりません。
限度額は、人によって違いますので、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
私の場合は、9万円近くまで自己負担だったので支払いが大変でした
高気圧酸素療法を受けた結果
高気圧酸素療法を17回受けてみて、まったく聞こえなかった左耳が、トラックなどが横を通ったら、音を感じられるようになりました。
突発性難聴と診断され、耳鼻科で計った左耳の聴力は、101.3dB。問題のない右耳の聴力は6.3dB。通常25dB以下だと正常です。高気圧酸素療法を受けた病院の機器では、90~100dBくらいまでしか測定できなかったので、スケールアウト状態でした。
そして、最後の治療の後に計ったら83dBまで回復。1~2週間後に耳鼻科できちんと計ってもらった聴力は73dBでした。
回復したとはいえ、この数値は、高度難聴の域を脱しておりません。
トラックや、飛行機などのいわゆる騒音というものは何とか感じるようになりましたが、何の音なのかは目で見ないとわかりません。
軽度難聴 | 25dB以上~40dB未満 |
中等度難聴 | 40dB以上~70dB未満 |
高度難聴 | 70dB以上~90dB未満 |
重度難聴 | 90dB以上 |
私の場合、聴力が落ちすぎたのであまり回復出来ていませんが、耳鼻科で薬をもらって飲んでいるだけだったら、変化がなかったかもしれません。
スタッフの方の話によると、高気圧酸素療法は、ほかの治療をいろいろ試して最終手段としてこられる方が多いそうです。
それでも、突発性難聴は時間との勝負なので、少しでも気になる方がおられたら、最終的にではなく早く受けてほしいと思います。
高気圧酸素療法終了後に試したこと
高気圧酸素療法が終わって、次に何を試そうかと考え、鍼灸院に通いました。
初日は、鍼治療とマッサージをしてもらい、2回目も鍼治療とマッサージ、電気治療などを受けたのですがまったく変化なし。
3回目からは鍼治療はなくなり、自律神経へのアプローチ中心となりました。
4回目か5回目から、治療代が高くなるのでチケットをおすすめされましたが、何万円も出してずっとこの治療で変化があるのかに疑問を抱き、予約の日に体調を崩してキャンセルしたのをきっかけに辞めてしまいました。
鍼治療を続けたかったのになぁ……
高気圧酸素療法のまとめ
いかがでしたか?
私の場合、近くに高気圧酸素療法が出来る病院がありましたが、装置がある病院は少ないと思います。
受けたくても受けられない場合もあるでしょう。
また、受けたとしても変化を感じられないかもしれません。
突発性難聴を治す手段として、このような治療があるんだということを、頭のすみにでも入れて頂けると嬉しいです。
では、高気圧酸素療法についてまとめます。
- 高気圧酸素療法は突発性難聴にも有効な治療方法ですが、1回の治療で1万円(3割負担)近くかかります。
- 保険適用は30回までで月が変わるとリセットされます。
- 高気圧酸素療法を受けても必ず治るという保証はありません。
- カプセル式の場合、閉所恐怖症の方は注意が必要です。
- 加圧の際の耳抜きさえできれば、特に心配はいりません。
- 高気圧酸素療法は、最終手段ではなく、試してみたい気持ちがあれば早めに受けてほしいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。